印旛沼のほとりにある順天堂大学のサッカー場で、ブリオベッカ浦安は今シーズン初の公式戦を迎えた。天皇杯千葉県予選準々決勝だ。
対戦相手は、明海大学サッカー部。昨年は、予選の決勝戦がこのカードだったので、レベルの高い試合になることが予測された。
アクセスが良いとは言えない場所だったが、観客は50人以上いる。過去の準々決勝と比べれば、多くのファンが来ている。
しかし、おれはもっと多くの観客に来てほしかった。
個人的には、「アマチュアクラブにとって、天皇杯はリーグ戦より大事」だと考えているので、応援も真剣にやるつもりだった。なので、この日の観戦スタイルは(夏に着る)甚平姿。試合前は動かないので寒い(試合中はちょうどいい)。
他の声出し応援するファンと話しをしている間に、選手入場となる。選手たちはボール回しもせず、すぐに円陣を組んだ。
今年のユニフォームは、青色が鮮明に映り、フィット感が増した印象だ。ふくよかな体型のファンが、ユニを購入するときは、少し大きめのサイズを選ぶべきだろう。
試合が始まった。
浦安は齋藤翔太(西〇西から移籍)にボールを集めて好機をさぐる。
そこに富塚や小島樹、新加入の伊川拓(いかわ たく 国士舘大卒)が絡む。
サイド一辺倒ではなく、狙いが分かりやすいサッカーという印象を受けた。
一方の明海大は、ボランチのところでボールを奪取する意図をもってプレスをかけていたが、そこでかわされる(浦安からすれば突破する)シーンも散見。
浦安に流れがきているところで、見事な先制点をあげた。村田翔の直接フリーキック炸裂。今年も代えが効かない存在だ。
ゴールを決めた村田は、もちろん称えられるべきだが、左足でフリーキックを蹴るとみせかけた篠田 朋宏(しのだ ともひろ FC大阪から移籍)のフェイントが、ゴールをアシストした形になった。
しかし、最初のセットプレーのピンチを迎えると、明海大にあっさり同点ゴールを許す。悪癖変わらずその1.
嫌な流れになりかけたが、浦安が再び勝ち越す。コーナーキックのチャンスから、山崎 紘吉がゴールを挙げた。キャプテンマークがよく似合う。
前半は、このまま終了。浦安のよい流れが目立った。竹中や秋葉がいなくても、攻撃は機能しているように見える。
後半開始時は、両チームとも動きはなし。浦安は、プレスをより早めた印象を持った。
明海大は、ショートカウンターからゴールを狙う意図を感じた。
後半15分ころ、浦安は痛恨のプレーをしてしまい、明海大にPK献上。理解不能なプレーで相手に大チャンスを与える悪癖変わらずその2.
当然のごとく決められて、楽々と同点に追いつかれる。
その2分後、逆転ゴールを許してしまう。(この時間帯にコールを入れるか悩んだが、かえってチームが混乱する恐れもあったため、おれは結局何もせず。自分勝手な考えだが、悔いは残る)
この逆転ゴールが1番シャクに障る。ペナルティエリアの数m外で、ボールを持った明海大のストライカーをドフリーにしたからだ。
(ペナルティエリア3mくらい外で、浦安の竹中がドフリーでボールを持ったら、浦安ファンは、相手の守備をどう思うだろうか?)1番改善してほしい悪癖変わらず
時間は30分くらい残っていたので、特に慌てることはない。選手交代を駆使して、同点ゴールを狙う。声出しファンは、カモン浦安コールをどんどん入れる。
しかし、敵陣でボールを奪われた後のプレスのかけ方がバラバラで、効果的なロングボールや長い縦パスを入れられる。明海大のプレーに一体感があった。
センターバックの体を張った守備や南のセーブで、これ以上の追加点は許さなかったが、明らかに明海大ペース。
浦安もチャンスは作ったが、効果的なシュートは数えるほど。浦安ファンがヒートアップする場面は、あまりなかった。
そして、聞きたくなかった試合終了のホイッスルを聞いた。2−3でブリオベッカは敗戦。守備の出来、残り30分の内容を考えると、妥当な結果といえる。
勝利した明海大の選手
この敗戦で、ブリオベッカは天皇杯本戦出場を逃した。
それどころか、天皇杯千葉県予選決勝進出が9年連続でストップ。
今年は、「予選決勝戦のムード」や「J1クラブと対戦するときの以上な高揚感」が味わえないと思うと、本当につらい。「切り替え」なんて言える心境ではない。
他の声出しファンは、そそくさと帰路についたが、おれはその場を動けず。
その理由の50%は「肉体的にも精神的にも疲労していた」
25%は「頭の中を整理するのに時間が掛かった」
最後の25%は、ここで書けない。
おれは、試合終了1時間が経ってから、サッカー場を後にした。
日が暮れた後、最寄り駅のホームに降り立つ。甚平姿には、寒風が身に染みた。