試合会場は、江戸川区陸上競技場
サッカーの試合を観戦するために、何回も足を運んでいるが、浦安ファンとして来場するのは初めて。
キックオフ2時間前に到着すると、スタジアムグルメは数店舗オープンしていた。地域リーグとしては、かなり早い時間からの営業だ。
ピッチ上では、キッズフェスタ&GKスクール を開催中。ベンチ外選手やGKコーチが「先生役」だ。
ブリオベッカのホームゲームでは試合前に小学生同士の前座試合が組まれるケースが多い。当然のことながら、その場にトップチームの選手はいない。しかし、小学生にとって、トップチームの試合会場で試合ができることは喜ばしいはず…
ピッチ上でのイベントが終わった後は、ゆるキャラが何体も出てきた(この暑い時期に徒競走は…と感じたが)。
東京23区ガールズやSherryのライブも開催。スタンドは盛り上がる。
おれは、地域リーグのサッカーを多くの場所で観戦しているが、これほど多くのイベントが開催され「お祭り」の雰囲気を出せる運営のできるチームは、まずない。
浦安応援席は、スクール生が来ていないこともあり、少しだけアウェイの空気が漂う。
その状況は変わることなく、選手入場を迎えた。
東京23FCの声出しが気勢を上げる中で、キックオフ。
両チームとも慎重な立ち上がりとなり、カウンターが発動しない。
浦安の声出しは、なぜか「人力アントラーズ」を歌いだす。ピッチ上では、DFラインからの持ち上がりで、いいシュートを打つシーンもあったが、得点には至らず。
東京23FCは、先週の国体予選でMVP級の活躍を見せたFW飯島がベンチにいることもあり、前半は膠着状態のまま終わる
と思っていたおれが、愚かだった。
中盤からの中距離パス1本で、浦安が先制点をあげる。
その瞬間、おれは喜ぶよりも先に「オーッ!」と感嘆の声をあげた。
参考:
(当時を振り返る羽生善治のコメント 「対局室と解説室とはかなり離れている上に、防音の厚い壁もあるので、 普通は解説室の声は聞こえないが、5二銀を打った瞬間、対局室に叫び声が聞こえてきた。 解説室の声が聞こえたのは後にも先にもあの1回だけだった」)
冗談はさておき、
「パスの出し手の選択・精度」
「パスの受け手の動き出し・トラップ・シュート」
いずれも、高いレベルだった。
今シーズンの浦安は、前線がいい動き出しをしても、いいパスが入らない(入れようともしない)シーンが度々あった。それだけに、このゴールは痛快だった。
このまま前半終了。スコア的にはいい展開。
勝負の後半、浦安の声出しは「カモン浦安」コールで選手を盛り立てようとする。
しかし、東京23FCの選手交代から流れは変わる。
FW飯島の投入だ。
絶好調のエースFWが、残り30分になってから登場。「浦安の大きな弱点の1つ」を見据えた戦術であることは明らかだった。
ロングフィード1本から同点に追いつかれ、サイドのケアに気が向いた瞬間、個人技で中央突破を許し逆転される。
この時間帯のスタンドは、23を応援するファンの声援が凄かった。
同点ゴールを決めた選手が、ウルトラの前まで走ってガッツポーズ。スタンドの観客の多くは、立ち上がって喜ぶ。
逆転ゴールが決まったときは、より大きな盛り上がりだった。
東京23FCの選手は、「本当の意味でファンからの声援からパワーをもらっている」のだろう。
メインスタンドの盛り上がりも、JFLですらあまりない雰囲気だった。
この光景を見ていて(おれはもちろん、声援を送っていたが)、
浦安よりも東京23FCのほうが遥かに、声援が選手の力になっている現状を察した。
とはいえ、浦安の選手は黙っていなかった。
35歳のようなプレーをするゴッツ(太田泰河)から菊島にボールが渡り、見事なゴールを決める。
同点に追いついたが、浦安ファンの声援は、この日のホームチームに比べると、微々たるものだった。
おれ自身、同点に追いついたのは嬉しいが、スクール生がいない応援の寂しさを感じていた。
ここからは一進一退の攻防となった。しかし、浦安の大きな弱点を突いた東京23FCがラスト10秒で劇的ゴールを決める。
東京23FCのウルトラは狂喜乱舞。メインスタンドの観客は総立ち。
2年前のアウェイ・Honda FC 戦を思い出させる光景だった。
都田は特別な場所
「現状認識」ができなかったことに尽きる
個人的には、「悔しい」というよりも、浦安の声出しの無力さを痛感した。
(浦安の場合 : 選手に声援があまり届いていない、座って観戦している観客が盛り上がらない etc. )
このまま試合終了。浦安は、逆転負けを食らった。「江戸川クラシコ」で、ダブルを許すおまけつき。
試合直後は、浦安の選手も、声出しも「悔しさありあり」
おれは、試合中のほとんどの時間帯で、声出し応援をしていたのに、悔しさをそんなに感じなかった。何故なら、選手が必要以上に落ち込んでいるのを見たからだ(平成22年の「みちのくダービー@天童」でも同じ経験をしている)。
個人的な考えでは、
浦安は、選手個人でいえば、いいプレーも散見した。しかし、対戦相手の心理状態を考えるようには感じなかった。
対する東京23FCは、浦安の弱点を把握した上で、見事に逆転勝ちした。その差が結果に出た。
途中出場のFW飯島 3得点に絡み存在感
東京23FC土屋監督 一問一答
(以上、TOKYO FOOTBALL)
試合後にスタンドの外へ出ると、東京23FCの選手たちが観客のお見送りをやっていた。
浦安でも、こうしたファンサービスを行っているが、様子は違う。
浦安の場合は、選手が立っていて、ファンがお気に入りの選手のところへ行くのみ。
東京23FCの場合は、運営スタッフの方が観客に向かって、選手とハイタッチするよう促す
「今日大活躍だった○○選手とハイタッチしてくださーい!」とか「イケメンとハイタッチして帰ってくださーい!」と掛け言葉もよい。
特に、人気選手の渡邉敬人や板野圭竜は、引っ張りだこ。ハイタッチに記念撮影に大忙しだった。
浦安の選手は、その影でひっそり帰路についた。おれは、1人の選手だけ「ナイスプレー」と声を掛ける。
そして、東京23FCのハイタッチが終了したのを見届けてからスタジアムを後にした。
…今になってこの試合(前後を含む)を振り返ると、東京23FCの試合には、見習うべき点が多いことに気づかされる。
ピッチ上の内容を除くと、個人的には以下のとおり
・声出し、スタンド全体の声援
・ゴールが決まったときの盛り上がり(そのときの選手とスタンドの距離感は、正直うらやましい)
・運営として、試合会場で「お祭り」の空気を出していること(試合開始1時間前から、様々なイベントあり)
・トップチームの選手と、観客の接点が多い
注:ここで書く観客とは、常連さんや後援会を除く
この日、ピッチの内外で、東京23FCとの差を感じずにはいられなかった。
しかし、それは悲観すべきことではない。
特に、ピッチ内での課題は、より一層はっきりした。
シーズン序盤と比べて、改善された点も多いが、フットボールに勝つために本当に必要なものはなんなのか?
理想論ばかりではなく、正しく現状を認識して、来シーズンを迎えてほしい。
課題がうやむやになったまま、新シーズンに突入する事態は避けてほしい。JFL1年目〜2年目のオフシーズンが最悪だったが、それの二の舞だけは…
ピッチ外については、
おれの考え(応援)が間違っていたのか?と自問自答することもある。
選手と(後援会、常連さんを除く)観客の接点を増やすには、おれがもっと行動を起こすほうがよいのか?と思うこともある。
(注・選手とは、試合会場、練習場、イベント以外で会ったことはない)
現状を悲観はしていない。しかし、
このブログを、浦安から離れた地でアップするのが、本当にもどかしい。